≪2025.12.8掲載≫
報告公募(Call for Papers)
アジア国際法学会日本協会 第17回研究大会
日時:2026年 6月28日(日)
場所:大阪(梅田)
アジアにおいては、ロシア=ウクライナ紛争やイスラエル=ハマス紛争といった、世界的に注目を集める武力紛争に関するものだけでなく、より広い文脈で安全保障化(securitisation)の傾向が見られます。上記の紛争に比べメディアでの報道は少ないものの、インド=パキスタン紛争やタイ=カンボジア国境紛争など、アジアでも国家間の武力衝突は実際に発生しています。米国とその同盟国によるアジア太平洋地域での軍事演習は増加する一方で、中国は台湾周辺海域での軍事演習をより集中的に行っています。こうした動きは、地域諸国の安全保障上の懸念を高めています。
2026年度研究大会では、安全保障上の懸念がアジアにおける国際法の発展、解釈、適用に及ぼす影響や、各国政府による安全保障措置の実施を国際法がどのように抑制しているかといった問題について、国際法の多様な分野からの研究報告・意見交換を行います。安全保障化は、国際法のあらゆる分野に浸透しています。伝統的な分野であるjus ad bellumおよびjus in bello、そして新たなjus post bellumが中心的な位置を占めますが、安全保障上の考慮事項は、海洋法、宇宙法、国際人権法、国際環境法、国際経済法にも影響しています。例えば、アジア諸国における政策上の優先事項としての「経済安全保障」の台頭は、貿易、投資、技術ガバナンスに関する法的言説を再構築するものといえます。気候変動への取り組みを含む環境義務もまた、安全保障の枠組みの影響を受けています。
大会組織委員会は、実務家や若手研究者を含め、上記の問題に関心のあるすべての方々からの報告提案を以下の要領で募集します。研究大会にはオンラインでも参加できますが、会場での活発な議論のため、発表者には対面での参加をお願いします。
考えられるテーマには以下が含まれます (ただし、これらに限定されません)。
1. 武力行使と武力紛争法
– アジアにおける武力紛争の議論における安全保障化のダイナミクス
– 目立たない国境紛争(例:インド=パキスタン、タイ=カンボジア)における武力紛争法の適用
– 停戦、領土管理、復興における戦後正義の役割
2. 海洋および領土安全保障
– 南シナ海および東シナ海における軍事活動
– グレーゾーン作戦と準軍事組織
– アジアの海峡における航行の自由と国家安全保障の主張
3. 人権と安全保障
– テロ対策や対スパイ活動を理由とした人権制限の正当化
– 安全保障化が難民、移民、少数民族に与える影響
– アジア諸国における緊急権限と例外
4. 経済安全保障と国際経済法
– 輸出管理、制裁、技術ガバナンス
– 「経済的威圧」とWTO/FTA紛争解決
– サプライチェーンのセキュリティと投資審査メカニズム
5. 環境安全保障
– アジア諸国における国家安全保障問題としての気候変動
– 水、食料、エネルギー資源の安全保障
– 軍事計画や地政学的な対立によって影響を受ける環境義務
6. 宇宙、テクノロジー、サイバーセキュリティ
– アジアにおける宇宙の軍事化
– 衛星干渉とデュアル・ユースの技術
– 国家安全保障上の要請に基づいて形成されたサイバーセキュリティの枠組み
7. 理論的、歴史的、社会学的、批判的アプローチ
– アジアの法秩序に関する批判的安全保障理論
– ポスト植民地アジアにおける安全保障枠組みの歴史的軌跡
– メディア、世論、および「安全保障上の脅威」の構築
1. 言語
報告での使用言語は英語または日本語とします。英語の報告と日本語の報告のいずれを希望されるか(あるいはいずれでも構わないか)を明記してください。報告を英語で行う場合でも応募時の要旨は日本語で構いません。分科会は、日本語使用分科会と英語使用分科会とから構成されます。そのため、報告時の使用言語に応じて、採否の検討を行います。
2. 応募手続
2026年2月28日までに、次の①-⑦の情報を1つのファイルにまとめたうえで、大会組織委員会宛(CfPAsianSIL@gmail.com)に送付してください。①報告テーマ、②報告概要(和文1,000 字以内または英文500語以内)、③氏名、④所属・地位、⑤略歴(和文400字以内または英文200語以内)、⑥関連する研究業績を最大3点、⑦連絡先(メールアドレス、電話番号、住所)。
3. 審査結果の通知
研究企画委員会で審査を行い、2026年3月31日までに申請者に通知します。
4. 研究大会の分科会の構成
公募報告は分科会に配置される予定です。分科会の構成を確定することができ次第、4月中に大会プログラムを協会ウェブサイト上に掲示し、報告者に連絡します。
5.カンファレンスペーパーの提出
研究大会での議論を有益なものとすべく、出席者と事前にカンファレンスペーパーを共有することとします。6月15日までに和文2,000字以上10,000字以内または英文1,000-5,000語以内を目途にカンファレンスペーパーを提出してください。
6.参加費用
本協会会員の大会参加費は無料です。
応募に際して本協会の会員であることは要件としませんが、会員でない報告者は参加費(10,000円、昼食会参加費と懇親会参加費を含む)を払うか、あるいは、大会時までに本協会の会員(年会費3,000円)となることをお願いいたします。
交通費・宿泊費は自己負担となります。
7.昼食会と懇親会
昼食会を開催します(1,500円)。顔合わせを兼ねていますので報告者は必ず参加してください。なお、非会員報告者の参加費には昼食会参加費が含まれています。
終了後の懇親会への参加は義務ではありませんが、交流の機会として是非ご参加ください(参加費用は約5,000円)。なお、非会員報告者の参加費には懇親会参加費も含まれており、懇親会に参加しない場合でも減額することができません。
物価上昇の折、昼食会および懇親会の会費は変更になる可能性があります。
8.報告時間
報告時間は 1 人 15 分とします。
9.問い合わせ
ご不明な点があれば、大会組織委員会宛(CfPAsianSIL@gmail.com)にお問い合わせください。