アジア国際法学会日本協会 理事長挨拶 2023年7月
アジア国際法学会日本協会会員の皆様
私は、2023年7月に本協会の理事長に選出され、国谷史朗前理事長の後任として、大谷美紀子、荒木一郎両副理事長とともに本協会の運営を担うことになりました。
私は中央大学法学部教員です。とくに開発、文化にかかわる国際法規範の形成と機能に関心を抱いています。本協会には2009年のアジア国際法学会東京大会のときから参加し、これまで広報委員長、研究企画委員長、事務局長を務めてきました。
国谷前理事長は、コロナ禍の困難な状況のなかで本協会の運営に尽力されました。私も本協会の発展と充実に、微力ながら力を尽くす決意です。学者と実務家の協働、若手法律家の支援、アジア国際法学会との連携を重視しつつ、アジアの学者・実務家の切磋琢磨とアジアから世界への発信という、アジア国際法学会の理念に寄与するよう、理事長としての任務を遂行していく所存です。どうぞよろしくお願いいたします。
2007年4月、アジア国際法学会(Asian Society of International Law)が設立されました。同学会はシンガポールに本部をおき、2年ごとに開かれる研究大会と中間年に開かれる地域大会を通じて、アジア地域の学者と実務家が交流し発信する貴重な場となり、アジアの国際法研究・教育・実務の発展に大いに貢献してきました。
本協会は同学会の設立に呼応し、その活動を促進する組織として2007年8月に設立されました。本協会は同学会の有力な国別学会(national chapter)の地位を占めています。同学会の約20名の理事のうち常に3名が本協会会員であり、研究大会・地域大会には多くの本協会会員が報告者して参加しています。また、Asian Journal of International Law (Cambridge UP) の編集にも、本協会会員が積極的に寄与しています。
他方で本協会は、人的・財政的に同学会とは別組織であり、学者と実務家が共同で運営するユニークな学会でもあります。国内学会としての活動を着実に積み重ね、毎年6月または7月に研究大会を開き、年に何度かより小規模な研究会・勉強会をもち、学者と実務家の知的関心を架橋する場になってきました。とくに若手の学者・実務家の育成に力を注ぎ、同学会報告者への財政支援、日常的な研究活動への財政補助、国際的な学術雑誌への投稿支援など、さまざまな事業にとりくんできました。
国際法学は、欧米中心的な学問として形成・発展してきました。本協会がめざすのは、アジアの学者・実務家が欧米の学者・実務家と対等に議論し、欧米の学問・実務を受容するにとどまらずときにはこれを批判的に捉え、より良き理論と実務のためにアジアから積極的に発信することを通じて、文化の多様性を尊重しつつ真に普遍的な国際法学の構築に寄与することです。
引き続き本協会をご支援いただきたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所、弁護士法人おおいた市民総合法律事務所、弁護士法人大江橋法律事務所、北浜法律事務所、古賀総合法律事務所、弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所、弁護士法人中央総合法律事務所、TMI総合法律事務所、弁護士法人中本総合法律事務所、三宅・今井・池田法律事務所、桃尾・松尾・難波法律事務所 (五十音順)