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アジア国際法学会第4回大会報告

≪2013年12月8日掲載≫

 

アジア国際法学会第4回大会報告

 
 本年(2013年)11月14日から16日までの3日間、ニューデリーでアジア国際法学会の第4回大会が開かれた。2007年のシンガポールの創立大会に始まり、東京の第2回、北京の第3回に引き続いて第4回目となる今会期は「21世紀におけるアジアと国際法:新たな地平」と題され、200人くらいの参加のもと、80人くらいによる個別報告が25のパラレルセッションで繰り広げられた。初日の開会全体会では、ハミド・アンサリ副大統領による(かなり中身のある)祝辞が述べられた後、大会開催責任者V.S.マニ・アジア国際法学会会長の挨拶、それから初回以来恒例となったアメリカ国際法学会D.ドノバン会長とヨーロッパ国際法学会L.ボアソン・ド・シャズルヌ会長の挨拶などが続いた。会場のインディア・ハビタット・センターは政府系機関などが入った壮大な建造物で、初日の昼食や夜の懇親会は屋外の中庭で行われた。季節的にちょうどしのぎやすい気候で、夜などは上着を着ないと寒いくらいであったが、会場内は混雑し熱気があった。
 
 人権法、投資法、地域統合、環境法、抵触法、サイバー法、競争法、人道法、商取引法、国際組織法、海洋法、歴史、宇宙法、知財法、国際法教育、国際立法、貿易法、市民社会など極めて多数の内容を網羅するプログラムはかなり過密で、しかもパネルの構成が最後まで決まらなかっただけでなく、パネリストや座長の重複などもあって、組織運営の面で課題は残されたと言える。日本からの報告者としては(発表順で)濱本正太郎(京都大学)、西海真樹(中央大学)、長谷部正道(大和総研)、豊田哲也(国際教養大学)、大賀徹(九州大学)、吾郷眞一(立命館大学)、金武真知子(アムステルダム大学)がいて、理事会には大沼保昭(明治大学)、吾郷眞一(立命館大学)、最上敏樹(早稲田大学)、荒木一郎(横浜国立大学)、西海真樹(中央大学)が参加した。大会最終日夕方の最終全体会では、大沼保昭理事による大会の総括とこれからの学会の方向性についてスピーチがあった。なお、今回「国際法教育」および「国際法の歴史と理論」に関する2つのInterest Group設置が提案され、それぞれ設けられたパネルで参加者が募られた。また、今回初めての試みとして、大会と並行して大学院生のための国際ワークショップが開催され、こちらも盛況であった。
 
 なお、会議前夜と会議終了直後に行われた理事会においては、理事改選が行われる(日本人理事は(アルファベット順で)吾郷眞一、国谷史朗、大沼保昭の3名)とともに、大会の次期開催国としてタイが受け入れを発表し、次期アジア国際法学会会長としてタイのスラキアート・サティラタイ理事が任命された。また、副会長としては吾郷眞一(立命館大学)、B.U.カーン(ダッカ大学)、M.ジョージ(マラヤ大学)、それに次期開催国副会長としてJ.ブンナーグ(タイ国際法学会会長)がそれぞれ指名された。なお、理事は規約上4期を超えて連続して在任することができないので、次期大会における理事構成の激変を回避するため、設立当初からの理事のうち一部は今期で引退し、今後活性化されることとなる諮問会議の構成員となった。また、今回からイランのハッサン・ソレイマニ(AALCO次長)、パキスタンのジャヴァイド・レーマン(ブルネル大学)が理事会に加わった。2年後(2015年)の第5回大会はバンコクで開かれるが、その前の2014年8月22-23日にダッカにおいて中間年研究大会も開催される予定なので、バンコクの隔年大会とあわせて、さらには今回もうけられた2つのInterest Groupについても積極的に参加していただきたい。なお、後者については参加の態様についての詳細がまだ決まっていないので、改めて案内をする予定である。
 
国際交流委員長 吾郷眞一